事務職はなくなる?将来性とIT化への対応策

事務の仕事はAIに奪われるのか?
事務職は将来なくなってしまうのか?

いつの時代も事務職は女性を中心に人気の職業ですが、IT化の加速やAIの台頭によって「将来なくなる仕事」といわれることが多くなりました。

事務職として働いている方、事務職への転職を検討している方は、今後の働き方について悩みどころかと思います。

私も10年近く携わってきたIT業界から大学職員の事務に転職する時は、まさに時代に逆行する行為だったので(笑)、それなりに覚悟をもって飛び込みましたが、

今の私の肌感覚としては、
今後人員が削減される可能性は高いが、事務職の全てがITやAIに取って代わられることはないだろう
と感じています。

とはいえ、5年後、10年後も事務職員が生き残るためには、ITとうまく付き合っていく必要はあるでしょう。

この記事では、事務職の展望と事務職員が生き残るためのスキルアップについて解説していきます。

この記事の概要

・事務職に限らず、全ての職種において省人化のリスクがある

・職を失わないためには、ITツールを管理・運用する側に回るべき

・事務職には事務職に適したITスキルを身に付けるべき

この記事を書いているのは・・・

名前 jasmine
職業 大学職員
経歴 都内私立大学卒業
⇒ IT企業に10年弱勤務
⇒ 600人の応募者の中から内定をもらい、現職の大学に転職

CONTENTS

AI化やIT化によってなくなる危険があるのは事務職だけではない

少し前のデータになりますが、2015年に発表されたオックスフォード大学と野村総合研究所の共同研究によると、
日本の労働人口の約49%が、技術的にはAIやロボット等により代替できるようになる可能性が高いと推計されています。

また、2022年のJILPIT(独立行政法人 労働政策研究・研修機構)による研究では、
“自動化技術の普及による雇用の代替可能性”について、次のように分類しています。

● 自動化確率が低いもの
専門的・技術的知識を要する職業
役員・正規雇用者
勤務先従業員規模が大きい職場
勤続年数が多い人
役職が高い人 など

● 自動化確率が高いもの
消費者向け産業で働く販売職・サービス職
農林漁業関連職 非正規雇用者
自営業者・家族従業者
勤務先従業員規模が小さい職場
勤続年数が少ない人
役職がないまたは低い人 など

https://www.jil.go.jp/institute/research/2022/225.html

つまり、仕事が自動化されることで代替される可能性は、
職種・職業に関わらず、専門性や年齢などの個人の属性にも左右される、ということです。

私たちが漠然と感じている不安感は数字にも現れています。
転職サービス「エン・ジャパン」のアンケート(2019年7月1日~2019年7月31日)によると、
会社員の約40%が「職を失うことへの不安」を感じていると回答しています。

実は、AI化・自動化によって仕事の需要が減る変化は、IT業界でも起こっています。

Business Journalの記事にあるように、これまではエンジニア、プログラマーが行っていた「コードを書く」という作業そのものが、AIによって取って代わられるという現象が既に起きています。

どんな職業に就いたとしても、もはや省人化、IT代替の波は避けられないと考えた方が良さそうです。

専門性の低い職業が生き残る具体策

AIやITが取って代わる可能性のある仕事には特徴があります。

・単純作業(ルーティンワーク)
・数字やデータを用いた作業(計算、計測など)

これらの仕事は今後システムに置き換えられる可能性が高く、既に多くの企業で自動化・システム化が進んでいます。

では、特に単純作業やデータを扱う業務の多い事務職はこの先どうしたらいいのでしょうか?

その答えは1つしかないと思っているのですが、
「ITツールを管理・運用する側に回ること」なのです。

注意が必要なのは、「管理・運用する」ことが重要で、単に「使いこなせる」だけではダメだということです。

jasmine

私の職場には、Excelや事務システムの使い方がわかっているから大丈夫!と安心しきっている中間管理職がたくさんいます・・・。

今の50代の人達は現行のシステムが「使えていれば」逃げ切れるのでしょうが、私のような30代の働き手は、そのスタンスでこの先を生き残るのは難しいかもしれません。
なぜなら、IT技術は日進月歩で進化し続けているからです。

ここで少し専門的な話をすると、私がエンジニアになったばかりの頃はまだオンプレミス(自社管理)のハードウェアが多かったのですが、
5年後くらいにはあっという間にクラウド化が進み、仮想サーバーが主流になってしまいました。

jasmine

仕組みが変わればそれに伴って新たな知識を習得しなければならず、
今あるシステムを使えていればOKとはならないんだな、ということを学びました。

事務職においても、新しいITツールが登場すれば新しいことを覚えるだけでなく、ツールに合わせて業務のスタイルを変える必要が出てくるのです。

ではなぜ、そうしたツールを「管理・運用する」立場になることが重要なのでしょう?

ITツールを「管理・運用する」とは、例えば具体的に以下のようなことを指します。

  • ツールの導入を検討し、チームに提案する
  • 使い方をメンバーにレクチャーする
  • 不具合が起きた時に対応する
  • バージョンアップなどのメンテナンスを行う

JILPITの研究でも分類されていたように、専門性があり役職の高い人はITに代替される可能性は低くなります。

しかし、一般の事務職員が直ちに専門性を高めることや勤続年数を増やすことはできませんよね。

そのため、ITツールを武器として、自ら業務改善の提案をする立場になればいいのです。

事務職が生き残るためのITスキル2つ

・・とは言っても、いきなりプログラミングを習得するなんてハードルが高すぎますよね。

前職でエンジニアだった私が、事務職に適していると思うITスキルは、主に以下の2つです。

  1. 業務の自動化に関わる知識・スキル
  2. クラウド関連の知識・スキル

業務の自動化に関わる知識・スキル

事務職が1番身近なツールとなりうるのが、自動化技術です。

例えば、毎日必ず行う定型業務などがあった場合、自動化技術を用いるとミスの削減や作業の時短に繋がるので、何か簡単なツールを取り入れられないかな?と考えている人は多いと思います。

RPA(Robotic Process Automation)
VBA(Visual Basic for Applications)

上記のような自動化ツールは、Microsoftなどからも提供されており、知識さえあれば導入コストもかからず日常業務に取り入れやすいのが特徴です。

まずは身近なタスクを自動化したい、という職場のニーズにマッチしたツールを習得するなら、これらのスキルを身に付けるのが近道となります。

クラウド関連の知識・スキル

ここでいうクラウドとは、クラウドサービスのことで、インターネットを介してサーバーなどのITサービスを提供することです。

※クラウドについて、詳しい解説は以下の総務省のサイトをご参照ください。

クラウドサービスのメリットは「必要な時に必要な分だけ、低価格でITリソースを提供できる」ことです。

クラウドサービスのバリエーションは多種多様ですが、中でも企業で導入率の高いパブリッククラウドの2大サービスは以下の2つです。

AWS(Amazon Web Service)
Azure(Microsoft Azure)

最近は企業規模の大小を問わず、AWSをはじめとするクラウドが主要システムのプラットフォームとして導入されるようになってきています。

現在は企業の情報部門の担当者レベルでしか知識が求められていない分野ではありますが、
これら代表的なクラウドはこれからも業務効率化やデジタル化の基盤を担っていくと思われますので、バックオフィスを担う事務職の方にとっても学習価値は十分高いと考えます。

【まとめ】事務職の将来性を考えると、IT化への対応が必須

事務職に限らず、多くの職業が将来的にAIなどのIT技術によって奪われる可能性はありますが、
ITツールを「管理・運用する」ことでAIに代替されない人材を目指しましょう!

また、この記事でご紹介したITスキルの一例についても、技術の進歩によって今後もどんどんアップデートされていくはずなので、
既存のシステムにとらわれず、新しいITツールを取り入れる柔軟な姿勢も大切ではないかと思います。

事務職の方が、今後の働き方やキャリアアップを考えるキッカケになれば幸いです。

それでは!

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